こんにちは、管理人の井口です。
朝日新聞の生活面の連載記事「患者を生きる」の解説シリーズ。今回は、「概日リズム睡眠障害」です。
睡眠の病気である睡眠障害は、詳しい専門医でない限り多くが聞いたことがないと思います。今回のテーマである「概日リズム睡眠障害」も聞いたことがある人は、恐らく患者さんかその家族くらいではないでしょうか。概日リズム睡眠障害は一見すると何も問題ないように見えますが、ひどい場合は一生つきあっていく必要があります。そこで今回は、記事の内容を交えながら概日リズム睡眠障害について解説していきます。
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目次
・概日リズム睡眠障害とは
・概日リズム睡眠障害の種類
・治療法は様々、まずは自分のタイプを知ること
・治るとは限らない
概日リズム睡眠障害とは
概日リズム睡眠障害は、簡単に言うと「概日リズム(体内時計)が狂ってしまう事により、日常生活特に睡眠や覚醒に支障が出る病気」です。このように書くと以前紹介した睡眠相後退症候群と何が違うんだと感じる人も多いと思います(睡眠相後退症候群の記事はこちら『』)。実は、睡眠相後退症候群は、概日リズム睡眠障害の1種で呼び方が違うだけです。ただ、新聞の記事では、睡眠相後退症候群のケースは、生活習慣により体内時計がずれていましたが、今回の概日リズム睡眠障害のケースは、ある時期に急に体内時計がずれてしまったようです。
そもそも人には、朝に強い人、夜に強い人がいます。一般的に「朝型」「夜型」と呼ばれますが、専門用語では「クロノタイプ」と呼ばれます。このクロノタイプは遺伝子によってある程度決まっているそうです。遺伝子で決まっているはずが、新聞の記事のケースでは、急に夜型になってしまったようです。家族はみんな普通に起きれるのに、自分は起きれない。家族にも理解されなくて大変だったようです。
概日リズム睡眠障害は、ただ体内時計がずれてしまって生活に支障が出るようになっただけなので、本人以外はなかなか気づかないし、理解が難しいかもしれません。ただ、遺伝子の影響の場合は本人にはどうすることもできないので、周りの人の理解が重要だと思います。
概日リズム睡眠障害の種類
概日リズム睡眠障害は、体内時計のずれ方で4つ種類に分けられます。
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睡眠相後退型
体内時計が後ろつまり遅くなる方にずれるタイプです。睡眠相後退症候群とも呼ばれます。主に思春期の頃に発症することが多いみたいです。ひどくなると、記事のケースのように、明け方に寝て昼頃に起きる生活になります。
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睡眠相前進型
体内時計が前につまり早い方にずれるタイプです。このタイプは、高齢者に多くなると言われます。早い人は、夜の7時頃には寝て夜明け頃の3時や4時頃に起きることもあります。
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不規則型
このタイプは、規則性がなく睡眠の時間帯が一定しません。4つのタイプの中で一番大変かもしれません。
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非24時間(フリーラン)型
フリーラン型は、睡眠の時間帯が毎日、一定時間づつずれていくタイプです。これは、恐らく厳密に体内時計の長さに従っている結果だと思います。
体内時計は、平均で24時間よりも少し長いですが、朝に日光を浴びることによりリセットして、24時間に合わせています。しかし、リセットができなくなったりすると、24時間よりも長い人は後ろに、短い人は前にずれていくようになります。盲目で目が見えなかったりすると、光のリセットができないのでフリーラン型になることがあるそうです。
治療法は様々、まずは自分のタイプを知ること
概日リズム睡眠障害の治療は、まず睡眠の記録をつけて自分のリズムを知ることから始まります。専門医の診察では、問診である程度はわかるかもしれませんが、やっぱり自分で記録をつけると客観的に見ることが出来るので、自分の睡眠を含めた体内時計の状態をしる上でも大事だと思います。
その上で、多いのが光療法だそうです。これは、体内時計が光でリセットされるのを利用して、専用の機器で強い光を浴びて体内時計を調節します。薬も処方する場合もあるそうですが、保険が適用される薬はまだないそうです。患者さんの生活習慣によっては、生活習慣の指導やアドバイスもあるかもしれません。記事によると、体内時計の調節に時間がかかる場合もあるので、早めに受信したほうがいいそうです。
治るとは限らない
概日リズム睡眠障害は、必ずしも完治するとは限りません。
先程も書きましたが、夜型、朝型は、遺伝子の影響もあります。記事のケースでは、入院してまで治療しましたが、完全に戻らなくて、結局夜型で生活する決断をしています。以前に紹介した記事のように生活習慣によって、体内時計がずれてしまった場合は治ると思いますが、今回のケースのように、ある時期に突然夜型になってしまった場合は、体質的に夜型の体になってしまったみたいなもので、治療しても朝型に戻らないかもしれません。
ただ、一般的に社会全体は朝型の時間で動いているので、睡眠相後退型だと普通に働くことは難しくなります。そのため、普通に昼間に働くよりも記事のケースのように夜勤の勤務の方が体は楽になると思います。睡眠相前進型は、デメリットはないと思うかもしれませんが、理解されないと人間関係が難しくなります。以前専門書で夫婦で夫が睡眠相前進型だったため夜7時頃には寝てしまい、奥さんが悩み離婚寸前までいったケースが書いてありました。いずれにせよ、自分のリズムを知り、また周りの人にも理解してもらうことが重要だと思います。また、フッレクス等の柔軟な勤務時間も重要です。
いかがでしたか。
この病気は傍目には病気だとわからないため、人によっては「怠けている」と思う場合もあります。ただ、トランスジェンダーと呼ばれる性的少数の人もいるように、体内時計も様々な人がいて当然です。特にこれからの日本のように少子高齢化してくると働く人は少なくなります。そういう意味では、概日リズム睡眠障害の人も働けるような柔軟な勤務制度も今後必要になってくるのではないでしょうか。
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