「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」の紹介

今回は、河出書房新社から出版されている「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」という本を紹介します。


目次
基本情報
著者の紹介
本の特徴
こういう人におすすめ
目次と簡単な内容の紹介
本の感想


基本情報

著者 宇田川久美子 
出版社 河出書房新社
定価 1250円+税 

著者の紹介

著者の宇田川久美子さんは薬剤師をされています。医療の現場で働いて、現代の薬漬けの治療法に疑問を感じて、「薬を使わない薬剤師」を目指しているそうです。現在は自分の経験、栄養学、運動生理学の知識を活かして、薬に頼らない健康法を伝える活動をされています。ただ、薬剤師が薬を否定するのはすごいと思います。ある意味、自分の存在を否定しかねません。外科医の医師が手術を否定するようなものですし。

本の特徴

本は、睡眠薬の種類や効く仕組みなど、睡眠薬の基本的な知識がみっちり書かれています。また、後半では、睡眠薬の減らし方や止め方も書かれています。睡眠薬に頼らないで快眠するために、睡眠の基礎知識も書かれています。

こういう人におすすめ

  • 睡眠薬を飲んでいる人
  • 睡眠薬について知りたい人
  • 睡眠薬を減らしたい人

目次と簡単な内容の紹介

はじめに

第1章 睡眠薬の甘い罠

この章では、睡眠薬の種類などが説明されています。よく混合されがちな「睡眠薬」「睡眠導入剤」「睡眠改善薬」の違いも書かれています。気になった箇所は、

「妊娠や授乳中の時期には、子供を産み育てるという機能(次世代再生機能)が備わっているため、不眠の耐性が高まり、寝なくても耐えられるのです」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

女性、特に授乳期の赤ちゃんがいる時期はすごいと思います。数時間おきに起きて母乳やミルクをあげなければなりません。出来る理由の一つがこれかもしれません。ただ、日本は世界的に見て睡眠時間が短く、また男性よりも女性の方が短いと言われています。もしかしたら、ある程度は寝なくても大丈夫と、男性が女性に甘えている結果なのかもしれません。

「世界では2位、アジアでは1位という睡眠薬消費大国でもあります」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

世界1位はもちろんアメリカです。アジアでは、日本の次がイスラエルらしいです。日本が多いのは、睡眠薬に対する規制がゆるいのと普通の町医者でも簡単に処方できるためだそうです。ちなみに、サプリメントの消費量も世界で2番目に多いと言われています。睡眠薬については、やはり欧米のほうが不眠症が多いので日本は欧米に比べると少なめです。日本の場合は、睡眠薬にあまりいいイメージを持ってないので、その影響もあるかもしれません。

「アメリカでは、トリアゾラムがらみの殺人事件が起こり、製造過程の臨床データで被験者の妄想や鬱病といった精神症状が生じていたことも明るみに出ました」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

トリアゾラムというのは、睡眠薬の成分の名前で主に効き目が短い睡眠薬に入っています。睡眠導入剤の呼ばれる薬に入っていることもあるそうです。効き目が短い=安全ではなく、れっきとした薬で副作用もあるということだと思います。

第2章 睡眠薬の仕組みと副作用

この章では、睡眠薬を飲むと眠くなる仕組みから副作用まで、睡眠薬について詳しく解説されています。気になった箇所は、

「規制のゆるい日本では、こうした事実を知りながらも、いまだに医師の管理の下でこの睡眠薬が処方されています」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

様々なことでもそうですが、日本はなにか問題が起きないと動かない所があります。昔の効き目が強い睡眠薬も、海外では規制の対象でも日本ではまだ処方できたりします。すべての医師が、睡眠薬について詳しいとは限らないので、そういう意味では少し怖いです。よく考えてみると、現在の日本は、処方する薬を決めるのは医師です。その後薬局にいって薬をもらうわけですが、薬剤師の必要性がないような気もします。近い将来、そういう薬剤師の仕事はAIにとって変わるかもしれません。

「『睡眠中に運転しようとしたり、夜中に過食したり、インターネットで必要のないものを買い物したりする』といった異常行動が続発」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

これも、睡眠薬の副作用の部分です。効き目が短い睡眠薬の服用で起きていることだそうです。ちょっと怖いですね。ただ、以前新聞かなにかで読んだことがあるのですが、アルコール依存症でも似たような事例があるそうです。そういう意味でも、アルコールと睡眠薬は似た者同士なのかもしれません。

「鬱病の方には80%~100%の割合で、睡眠障害があるという報告があります」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

うつ病の特徴の一つとして、不眠が上げられます。80~100%ということは、ほぼ全て、不眠の症状がない方が珍しいということです。

ちなみに、不眠は、「寝付けない(入眠障害)」「途中で目が覚める(中途覚醒)」「早く目が醒めてしまう(早期覚醒)」がありますが、うつ病の人は3つ共当てはまるようです。また、健康な人は寝ればスッキリして気分が良くなりますが、うつ病の人は逆に寝て起きると気分が悪くなるという特徴があります。

なので、睡眠を改善しようとしてもうまくいかないので、うつ病の場合はまずうつ病の治療から入るみたいです。

「『2週間以上続く不眠は鬱のサインかもしれません。眠れない時はお医者さんへ』とうたい、内閣府が睡眠改善を促す睡眠キャンペーンを行いました。キャンペーンを実施した静岡県富士市や滋賀県大津市では期間中に自殺者が明らかに増加したそうです。」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

これは、皮肉でしょうか。ただ、キャンペーンと自殺の増加の因果関係がわからないので微妙ですが。先程も書きましたが、うつ病の一つの特徴として不眠があります。ただ、それがうつ病の気づかずに睡眠をどうにかしようとしてしまう人が多いみたいです。上の文でも、恐らく普通の町医者に行って睡眠薬を処方されたケースが多いかもしれません。鬱かもと思ったら、精神科を受診したほうがいいかもしれません。

「BZ系睡眠薬の累積量が90日分を超えたり、作用時間の長い睡眠薬を使えば使うほど、アルツハイマーのリスクが高まります。」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

これは睡眠薬の弊害の一つかもしれません。睡眠薬を飲むと眠れますが、その睡眠の内容はやはり不自然だと言われています。

睡眠薬を飲むと、寝付くまでの時間は短くなりますが、深い睡眠は得られにくいそうです。また、切れると、すぐに浅くなったり目が覚めたりするので、ノンレム睡眠とレム睡眠と繰り返す自然な睡眠とは違うようです。睡眠薬とは「とりあえず眠るための薬」ということかもしれません。

「睡眠薬の効果の半分は、『睡眠薬を飲んだから眠れるはず』という自己暗示によるプラセボ効果だと思っています」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

これは著者の個人的な意見ですが、言い切るのもすごいです。プラセボ効果というのは、簡単に言うと「ニセモノでも思い込むと本当の薬のような効果が出ること」です。

この言葉が本当なら、別に胃薬でもなんでも、睡眠薬と言って渡せば眠れてしまうということです。うつ病やむずむず脚症候群のような睡眠障害は無理かもしれませんが、ただ単に眠れないという程度なら有効かもしれません。

第3章 眠りの本質と「睡眠負債」

この章では、簡単に人が眠る仕組みと睡眠の基礎的な知識が書かれています。気になった箇所は、

「アルツハイマー型認知症は、脳内の睡眠作用に密接に関わっているBZ受容体も損傷してしまうため、BZ系睡眠薬の効果が得られにくいという指摘もあります。」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

アルツハイマー型認知症は認知症の中では一番多いですが、僕の個人的なイメージは夜の徘徊です。

実は、アルツハイマー型認知症は、体内時計のシステムが狂いやすいと言われています。正確に言うと、体内時計を制御している所が著しく損傷するそうです。なので、夜眠れなくなります。ただ、上の文によると、睡眠薬も効きにくいのなら大変です。

メラトニン受容体作動薬やオレキシン拮抗薬のような新しいタイプの睡眠薬に頼らざるを得ないのかもしれません。

第4章 減薬・断薬するには?

闇雲に睡眠薬をやめたり、減らしても不眠症が悪化する可能性があります。この章では、そうならないために、どうすればいいかが書かれています。気になった箇所は、

「イギリスのガイドラインでは、BZ系は短期間の救済措置として使う薬で処方は4週間以内です。香港、台湾でも処方は4週間です。」

引用:「睡眠薬 その一錠が病気をつくる」

これは、海外の睡眠薬の規制の一例ですが、日本では、処方できるのは最大で1ヶ月分らしいです。「なんだ、同じじゃん」と思うかもしれませんんが、日本はまた病院に行って診察を受けるとまた、処方されます。なので、実際には限度はないと言えるかもしれません。

第5章 睡眠薬に頼らず、快眠する方法

この章では、睡眠薬に頼らすに快眠するコツが書かれています。書かれてある内容はいたって基本的なことですが、普段睡眠薬を飲んでいる人にとっては新鮮かもしれません。

おわりに

本の感想

僕自身、睡眠薬は服用してないので、この本はブログの記事を書くために買いました。ただ、睡眠の勉強をする上で睡眠薬は避けては通れません。種類から仕組み等基礎的な情報がわかりやすく書かれているので、予備知識がなくても理解でき非常に参考になりました。

いかがでしたか。

睡眠の改善は、睡眠の知識の勉強から睡眠習慣の改善が基本ですが、最終的にはやはり睡眠薬の出番になります。ただ、睡眠薬は間違うと全身に影響が出るのでしっかりと主治医と話し合いが必要になります。この本を読んで、睡眠薬を理解し、医師と相談して自分にあった睡眠薬を見つけてください。

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