「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」の紹介

今回は、KADOKAWAから出版されている「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」という本を紹介します。


目次
基本情報
著者の紹介
本の特徴
こういう人におすすめ
目次と簡単な内容の紹介
本の感想


基本情報

著者 内山真
出版社 KADOKAWA
定価 1400円+税

著者の紹介

著者の内山さんは、東北大学医学部卒業後、現・国立精神・神経医療研究センター室長を務められて、その後ドイツのヘタファ神経学病院の睡眠障害研究施設に留学、同センター部長を務めた後、現在は日本大学医学部精神医学系主任教授を務められています。睡眠に関する著作も多く、睡眠の専門家としてNHKの「今日の健康」を始めとしたメデイアへの出演も多いです。また、日本睡眠学会理事長、日本臨床神経生理学会理事、日本時間生物学会理事など、様々な学会の役職も務められています。

本の特徴

この本は、快眠する方法やより深く眠る方法が書いてあるわけではなく、加齢や心の病気、うつなど様々なことが原因で、よく眠れなくなった人向けに睡眠の仕組みや対策が書かれています。特に年をとると多くの人が不眠の症状に悩みます。高齢者向けの睡眠の本は少ないので、睡眠に悩んでいる高齢者の人は一度読んでみるといいと思います。

後半には、寝付きを良くするためにリラックスする方法や睡眠薬との付き合い方も書かれています。どの章でも、実際の睡眠の悩みが紹介されているので、説得力があります。

こういう人におすすめ

  • 年をとって眠れなくなった人
  • 40代・50代の人
  • 最近うつ気味でよく眠れないと感じている人

目次と簡単な内容の紹介

まえがき

第一章 年齢とともに激変する男女の眠りの環境と仕組み

この章では、40代から70代までの睡眠の変化と対策が男女別に書かれています。一般に年をとると睡眠が浅くなり、短くなると言われます。そのため、若い頃と同じように寝ようとして不眠の症状に悩まされてしまします。そういった人は、一度この章を読んで自分の睡眠を見直されてはいかがでしょうか。

第二章 「眠り」に関する素朴な疑問

この章では、特に高齢者が陥りやすい睡眠の誤解について解説されています。高齢者に多い朝早く目覚めてしまうという悩みの解決策も書かれています。また、後半には「うつ」と睡眠の関係についても触れられています。気になった箇所は、

「2500~3000ルクス:ナイターをやっている球場と同じレベルの明るさ」

引用:「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」

これは初耳でした。確かに球場の照明はかなり明るいのです。なにか基準があるかはわかりませんが、もしかすると選手の人が眠くならないようにという配慮かもしれません。ただ、子供や若い人はシニアの人と比べて光の感受性が高いです。なので、もし試合が延長になって遅くなってしまうと、照明の光の影響で体内時計が狂う可能性があるので気をつけてください。

第三章 「こころ」からみた睡眠

この章では、主に寝付きを良くするために「悩み」との付き合い方が書かれています。不眠の症状は、「寝付けない(入眠困難)」「途中で目が覚める(中途覚醒)」「朝早く目が覚める(早朝覚醒)」の3つがありますが、この中でも「寝付けない」という悩みはどの年代でも見られます。次の章でも触れられていますが、「寝付けない」という悩みは、うつ病と結びつきやすいそうです。つまり、「うつ病になりやすい」ということです。なので、悩みや考え事でなかなか寝付けないという人は、一度この章だけでも読まれてはいかがでしょうか。気になった箇所は、

「ヒトは暗くなると警戒心が強くなるように出来ているからです」

引用:「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」

確かに、真っ暗は怖いという人はいます。ただ、僕自身は快眠するには出来るだけ真っ暗な方がいいと考えています。ここが非常に難しくて、寝付くときは光が欲しくて、一旦寝付くと光が邪魔になります。足元にフットランプを置くの1つの案です。最近は、エアコンが体の動きを察知して、風や温度を調整してくれる機種があるように、近い将来部屋の照明が睡眠の状態を感知して、光を調整してくれるものが出たら、こういった悩みもなくなるかもしれません。

「入眠困難が最も鬱病の起こりやすさと関係がある」

引用:「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」

先程も書いたとおり、入眠困難つまりなかなか寝付けない人は、他の2つの症状と比べるとうつ病になりやすいそうです。これは、多分ですが他の2つは若い年代は少なく、年をとると多くなります。なので、もしかしたら「歳のせいだから仕方ない」とある程度諦めて受け入れているので、うつ病になりにくいかもしれません。

第四章 眠れないときは「うつ」にも注意

この章では、うつ病と睡眠との関係について詳しく解説されています。気になった箇所は、

「『徹夜をした時に、なぜか浮かれた気分になる現象』を鬱病の治療に応用する試みとして始まったのが、覚醒療法です」

引用:「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」

ある意味ショック療法かもしれません。本来眠ると気分がスッキリします。なので、「嫌なことがあると眠って忘れる」というのは、非常に理にかなっています。

ですが、うつ病になると眠ってもすっきりしないどころか悪くなる場合もあるそうです。この覚醒療法がどれほど効果があるかはわかりませんが、寝ても睡眠本来の効果が発揮できないのであれば、寝ないほうがいいのかもしれません。

ただ、闇雲に徹夜をするといいというわけでもないと思うので、医師の診断や指示に従ったほうがいいと思います。

「男性では『のんびりする』『趣味やスポーツに打ち込む』が鬱病のなりにくさと関連しているのに対し、女性では『人に話して発散する』『買い物をする』が鬱病のなりにくさと関連しました」

引用:「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」

よく一般に言われるストレス発散の方法です。どのようなものであれ、趣味は一つくらいあった方がいいようです。

第五章 不眠と「身体」の密接な関係

この章では、主な睡眠障害である睡眠時無呼吸症候群とむずむず脚症候群について書かれています。気になった箇所は、

「歯科医師が指摘していることですが、現代人は食べやすいものを好んで口にするようになり、顎の発達が少しずつ悪くなっているそうです」

引用:「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」

これは、以前から言われていたことです。現代人は柔らかいものを食べることが多いので、あまり噛まなくなっています。その影響でしょう。睡眠に関して言うと、現代人はあまり歩かないので、セロトニンの分泌量が減っているかもしれません。また、セロトニンが少ないとメラトニンも少なくなるので、その影響も心配です。また、日本人を含めたアジア人は欧米の人と比べると、骨格上睡眠時無呼吸症候群になりやすいと言われています。これは、僕の個人的なイメージですが、顎が小さいと舌がちゃんと固定できなくて、喉の方に落ちやすそうな気がします。そういう意味でも、ちょっと心配です。

第六章 工夫しだいで睡眠の「満足度」は高まる

この章では、高齢者の人でもできる睡眠の満足度を上げるコツが書かれています。大まかには、リラックスする方法と睡眠に関する習慣について書かれています。別の本で書かれていましたが、年をとると、自率神経の一つである副交感神経が優位になりにくい、つまりリラックスしにくいそうです。なので、自分で積極的にリラックスするようにしましょう。気になった箇所は、

「不眠解消のために医師を受信した人の割合は、7.8%と世界各国の数値と比べて低くなっています」

引用:「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」

これは、おそらく睡眠薬に対するイメージのせいかもしれません。僕もそこら辺の町医者に睡眠について相談すると、睡眠薬を処方されそうな気がします。かといって、今の日本ではなかなか睡眠の専門医や相談できる専門家が少ないかもしれません。日本は、3人に1人は不眠に悩んでいるそうですし、睡眠時間も短いです。もう少し気軽に睡眠について相談できる環境があれば改善されるかもしれません。

「現在、一般に眠るために使われてるもので、一番危険なものはアルコールです」

引用:「睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識」

眠るために、睡眠薬代わりにお酒を飲む人は多いかもしれませんが、睡眠の関係から言うとおすすめできません。アルコール自体睡眠薬と似たような働きがあるので、習慣になりやすく依存症になるリスクがあります。また、睡眠薬はそう簡単に手に入りませんが、アルコールはコンビニでも売ってますし、どこでも気軽に手に入ります。そういう意味では、睡眠薬よりも危険かもしれません。飲むなら寝る前より夕食の時の飲む晩酌にしましょう。ただ、アルコールの分解する時間が必要なので、出来れば寝る4時間、遅くても3時間前にしてください。

ちなみに、欧米でいうナイトキャップは、ウイスキーやウォッカ等の強いお酒を寝る前に少量飲むことです。ビール等のアルコール度数が低いお酒はなかなか酔わないので、ナイトキャップにはなりません。勘違いをしないでください。

第七章 正しい睡眠薬のつきあい方

この章では、睡眠薬についての基本的な知識について書かれています。睡眠薬を服用している人は、読んでおいたほうがいいと思います。

本の感想

本を買った当初は、高齢者向けの本ということもあって敬遠していたのですが、勉強をしていくうちに高齢者向けの情報が少ないので、貴重な本だと気づきました。僕自身は、この本のお世話になるのはもう少し先ですが、大変参考になった本です。

いかがでしたか。

睡眠の本は、だいたい睡眠時間が不足したり、質が低下しやすい働きざかりの世代向けに書かれていることが多いです。ただ、この本は珍しく高齢者向けの本です。テレビの情報番組では、シニア向けの番組が多いですが、TV番組では情報に限りがあります。高齢者の睡眠についてまとまった知識が得られる数少ない本だと思うので、少しでもよく眠りたいという高齢者の人は、一度読まれてはいかがでしょうか。