驚くべき体内時計の仕組み どのように時を刻んでいるか

こんにちは 管理人の井口です。

今回のテーマは「体内時計の仕組み」です。

人に限らず、蝿のような昆虫類から植物にいたるまで、それぞれ体内時計を持っています。植物の仕組みは動物とは違うようですが、動物の仕組みは自体は、ほとんど変わりません。今回は、人の体でどのように時を刻んでいるのか、その仕組みを解りやすく解説します。


目次
時を刻む仕組み
体内時計の中枢は眼の奥にある
体中の細胞全てが自前の時計を持っている
年をとると眠りが浅くなる理由


時を刻む仕組み

人の体が時を刻む仕組みは、簡単といえば簡単です(説明が少し難しい)。人のDNAの中には時計遺伝子と呼ばれるものがあります。

ちなみに、一般的にDNA=遺伝子と考えられていますが、厳密に言うと、DNAは有名な2重螺旋構造で全ての遺伝情報が詰まっています。その中の情報の一つを担っているものを遺伝子と呼びます。DNAの中にはまったく意味がない部分もあるそうです。

時計遺伝子はどんな役割があるかというと、あるタンパク質を作ります。ここでは簡単にタンパク質Aとします。「タンパク質Aを作る」、実はそれだけなのですが、非常によく出来た仕組みで24時間の時を刻むように出来ています。以下簡単に説明します。

  1. 時計遺伝子からタンパク質Aの素が作られる

    ちょっと専門的になりますが遺伝子からどういう風にタンパク質が作られるかというと、DNAの中の一部分がほどけて、その内容をコピーします。出来るのがタンパク質の素となる物質です(専門用語でmRNAといいます)。その素からタンパク質が作られるわけです。時計遺伝子からもタンパク質Aの素が作られます。

  2. 細胞の核の外でタンパク質Aが作られる

    作られたAの素は、細胞核の外に出されてタンパク質Aが作られます。

  3. タンパク質Aが細胞核の中に入る

    出来たタンパク質Aは何をするかというと、面白いことにまた細胞核の中に入ります。

  4. タンパク質Aが素が作られるのを抑制する

    細胞核に入ったタンパク質Aがすることは一つだけ。それは、Aの素が作られるのを抑制することです。つまり、自分の素が作られるのを邪魔するわけです。

  5. Aの素が無くなる

    Aの邪魔によって、Aの素が作られなくなります。その間も、先に作られていた素からタンパク質Aは作られるので、最終的にはAの素はなくなります。

  6. タンパク質Aも無くなる

    タンパク質Aも寿命があり少しづつ無くなります。素がなくなりタンパク質Aが作られなくなると、こちらも最終的になくなります。タンパク質Aが無くなると、またAの素が作られます。

この一連のサイクルの周期がおよそ24時間になっているわけです。ちなみに、人の体内時計の仕組みは実はもう少し複雑なのですが、「時計遺伝子からタンパク質の素が出来て、素からタンパク質が出来、タンパク質が素を作るのを邪魔をして、やがてタンパク質が無くなる」という大まかなサイクルは同じです。蝿も鳥や動物もほぼ同じ仕組みです。

体内時計の中枢は眼の奥にある

体内時計の中枢は、目の奥、正確には左右の目の視神経が合流するところの真上にあるそうです。視交叉上核(SCN)と呼ばれていて、大きさは1~2㎜ほどだそうです。

SCNには、約一万個の神経細胞が集まっていて、そのどれもが時を刻んでいます。ある程度の誤差はあるかも知れませんが、同調してほぼ同じ時を刻んでいるので、細胞全体の総意が体内時計の指標となります。

体内時計は、朝にある程度の強さの光を浴びるとリセットされますが、これはSCNが目の奥にあるので目からの光の刺激でリセットされるからです。

体中の細胞全てが自前の時計を持っている

時計遺伝子はSCNだけにあるのかというとそうではなく、体中の全ての細胞にあり、それぞれの臓器が自前の時計を持っています。ただ、それだと体中がバラバラになってしまい体内時計として機能しなくなるので、SCNがリセットされた時点でSCNから体中の細胞に向かって指令が出されます。SCNが「今リセット(朝)されたので、みんなも時計をリセットしろ」と号令を出しているようなものです。

SCNの神経細胞の時計の総意が体内時計の指標なのと同じように、体内の臓器の総意が体温のリズムになります。ちなみに、SCNの号令に対する感度は臓器ごとに違っているみたいで、一番鈍感なのが肝臓らしいです。つまり、肝臓の時計は一度ずれるとなかなか合わないということです。別の言い方をすると、肝臓は時差に弱いということです。

なので、もしかすると海外旅行でアルコールを取ると、普段日本で飲むよりも肝臓へのダメージが大きいかもしれません。

年をとると眠りが浅くなる理由

年をとると眠りが浅くなるのは知っている人も多いと思います。何故浅くなるかというと、理由の一つと考えられるのが、「時計遺伝子の減少」です。

SCNには、若い時には約一万個の神経細胞があると先程書きました。でも、年をとると数が減少してくるそうです。その結果、どうなるかというとSCNが体中の細胞に向けて発せられる号令が弱くなるため、号令に敏感な臓器はちゃんとリセットされますが、鈍感な臓器はなかなか合わなくなります。そのため、体温のリズムが狂ってきてしまいます。

高齢になると早く眠たくなりますが、これは体温のリズムが狂って、体温が下がってくるのが早くなっているからです。また、眠りが浅くなるのも体温が以前よりも下がらなくなってきているからです。

若い頃は、何もしなくても体内時計は狂うことはほぼないですが、高齢者になると難しくなります。しかし、時計遺伝子そのものが減っているので、朝に日光を浴びてもリセットされにくいので、しっかりと朝食のリセット効果もしっかりと活用しましょう。

ちなみに、リセットされにくいとうことは時差ぼけも治りにくいということでもあります。あまり高齢で海外旅行は体に負担になるのでほどほどにした方がいいかもしれません。

いかがでしたか

今回の記事の内容は、別に覚えていてもたいして役に立ちません。雑学なので、すぐに忘れても大丈夫ですが、頭の片隅にでも置いてくれたら嬉しいです。